インターフェース支えるTC技術 マルチメディア活用相次ぐ
1994年(平成6年)9月22日 日経産業新聞掲載
8月25、26日に東京・新宿の工学院大学で第6回テクニカルコミュニケーション(TC)シンポジウムが開かれた。
参加者は600人弱。7割はメーカーのマニュアルやドキュメント作成担当者で、そのほか制作会社やフリーランス、学生などが参加し、マニュアルの作成技術、マネジメント、評価、人材育成などの各分野についてセミナーやパネルディスカッションが行われた。
今年のテーマは「ユーザーインターフェースを支えるTC技術」で、特にマルチメディア関連の発表が目立った。パソコン画面に表示するオンラインマニュアルや、オフィス向けコピー機のパネル部分に搭載されたオンラインマニュアルの事例発表など、紙を使わずに絵や動画も含めた新しいマニュアルの形態に関心が集まった。パネルディスカッションでは、メンテナンス性、コスト削減効果など、実際にオンラインマニュアルを作成する際の課題がパネリストへ質問された。 1階のアトリウムで開催したマニュアルの展示会には多くの参加者が足を止めたと実行委員の日本電気C&Cシステム教育事業部教育メディア課の中田森彦氏。
マニュアルの作成者は、日ごろ他社のマニュアルを目にする機会が意外を少ない。中田氏によると「参加者は経験5年以内の実務担当者が大半。他社との情報交換や新しい技術をシンポジウムの場で得ることを参加の理由にあげる参加者が多い」という。
このため、文章のブラッシュアップやビジュアルデザインについての具体的な内容のセッションに人気が集まっている。また、法制化がせまるPL(製造物責任)とマニュアルのセミナーなど時事的な問題への関心も高まっている。 今年で6回目を迎えるシンポジウムは、発表者もマニュアル作成にかかわるディレクターやライターが多く、実務に即した内容になっている半面、常連の参加者からは内容の新しさを求める声も出始めている。
進歩の速いコンピューターの技術をわかりやすくユーザーに伝えるインタフェース技術は、マニュアルにとどまらず製品開発やビジネスドキュメントにかかわるすべての人に役立つはず。対象を拡大し、マニュアルの閉じた世界に限定しないことが、今後のシンポジウムに望まれている。
