家庭用パソコンのオンラインマニュアル
1995年(平成7年)3月16日 日経産業新聞掲載
体験しつつ理解深める テレビが見られるなど動画や音声を扱うのが得意で比較的低価格な家庭用マルチメディアパソコンが、ヒット商品として売れている。各社は使いやすさをアピールするため、オンラインマニュアルを用意しているのが特徴だ。
オンラインマニュアルは、従来の紙のマニュアルと違って、画面の中でパソコンを使うために必要な基礎知識、基本的な操作方法、用語などを解説するもの。 NECの98マルチCanBeでは、買ってきて電源を入れると「98チューター」と呼ばれるオンラインマニュアルが起動し、9分弱の間メニューやマウス操作の説明、パソコンでできることをハチのキャラクターが説明する。さらにCD-ROM(コンパクトディスクを使った読み出し専用メモリー)による「スタートガイド」で、基本操作の練習を含めた各機能の説明を画面上で学習できる。
富士通のFMタウンズⅡでも、メニューの紹介を男女のキャラクターが解説し、さらに「Welcome to TOWNS」というCD-ROMによって、基本操作から添付のソフトウェアの使い方までを学習できる。 どちらの機種にも使っていてわからないことが出た際に、画面の一部をマウスで指示して、説明文を表示する機能がついている。
こうしたオンラインマニュアルの効果は、パソコンを初めて使うユーザーがパソコンの概要を短時間で理解でき、パソコンそのものを使った操作練習ができる点だ。マニュアルを読むのが苦手な初心者でも、気軽に接することができるのも長所といえるだろう。
理科系の作文技術の著者として知られる学習院大学名誉教授木下是雄氏は、先月開かれたテクニカルライターを対象にした勉強会で、「ユーザーにわからせるのに大切なのは、感覚的把握やイメージを与えること。読み手が"感じられる"表現が重要」と述べている。 音と動画で説明し、五感に訴えるオンラインマニュアルは、わからせるために優れた方法の一つというわけだ。ただし、入り口のイメージを伝える部分はオンラインマニュアルの効果が大きいが、一歩進んで活用したい時の説明は文章が中心で、キーワード検索の使いやすさも今一つだ。今後はより深く理解し、活用するまでをきめ細かくフォローできるオンラインマニュアルの開発が望まれる。
