株式会社ハーティネス

コラム「マニュアルNOW」1995

 

5回目迎えたマニュアルコンテスト わかりやすさ追求に力点

1995年(平成7年)8月10日 日経産業新聞掲載

 優れたマニュアルを評価し、製作技術の向上を図る−。このような目的で毎年、開催されるマニュアルコンテストが今年で五5目を迎えた。主催は企業のマニュアル部門や製作会社が加入しているSTC(ソサエティ・フォア・テクニカルコミュニケーション)東京支部。今年からは業界を横につなぐテクニカルコミュニケーター協会も後援している。

 今年の応募作品は20社44点。個人向けの「パーソナル部門」と、企業向けの「ビジネス部門」に分けて評価が行われた。評者はマニュアルの実務に携わる担当者のみ。パーソナル部門はよりわかりやすい説明に重点を置き、ビジネス部門は検索性と評価方法も異なっている。

  パーソナル部門の応募は29点で、ビジネス部門の約2倍あった。エアコンや洗濯機など従来の家電製品に加えて、家庭向けファクシミリやコードレス電話など情報機器のマニュアルの応募が増えてきた。「企業がパーソナル機器のマニュアルの改善に力を入れている証拠」と白井昇コンテスト実行委員長(リコー総合デザインセンター)はみる。 受賞作品は14点で、最優秀賞は該当作がなかったものの、優秀賞の2点は使い方の紹介やサンプルを充実し、ユーザーのメリットをわかりやすく伝える工夫が評価された。単なる操作方法にとどまらず、一歩踏み込んでどのようなことができるのかを、イラストや例示とともに魅力的に見せている。

 応募作品は5月までに制作されたものだが、7月のPL(製造物責任)法施行に向けて、注意や警告の表示を強化したマニュアルも目立った。全体的にはよくまとまっているものの、新しい挑戦を試みたマニュアルが少なかった。情報機器の低価格化によるコスト削減が一層進み、限られた予算のなかで、わかりやすさを追求するマニュアルが増えているようだ。 「業界団体自らが運営するマニュアルコンテストとしては唯一。今年は応募点数がやや少なかったが、今後はコンテストそのものを広く知ってもらいたい」と白井氏は語る。 受賞マニュアルは8月31日、9月1日に新宿の工学院大学で開催されるテクニカルコミュニケーションシンポジウムで展示される予定だ。多くの参加者の目に触れ、さらなる改善が期待される。