技術・知識交流シンポ7回目 PL法・マルチメディアに関心
1995年(平成7年)9月14日 日経産業新聞掲載
マニュアル制作者による技術や知識の交流の場である「テクニカルコミュニケーションシンポジウム」(TCシンポジウム)が8月31日と9月1日、東京・新宿の工学院大学で開催された。7回目を迎える今年のテーマは「TCの新しい波−PL、マルチメディア、インターネットetc」。新しい時代のマニュアルのあり方を模索する同シンポジウムに二日間で約700人が参加した。
昨年に比べて参加者は1割以上増えた。昨年は景気の影響で参加者を抑えた企業が多かったが、コンピューター業界の勢いの復活に合わせて、マニュアルへの取り組みも活発化しつつある。 「新しい時代のマニュアルづくりの取り組みに焦点を当てて、テーマには最新のトピックスを並べた。
もはや紙マニュアルだけではユーザーを満足させられないと感じているのでは」と同シンポジウムの浜口晴雄プログラム委員長。 実際に分科会やセミナーでは、PL(製造物責任)法とマニュアル、マルチメディア化について他社の取り組みといった内容に関心が集まった。特に7月1日に施行されたPL法については、各社ともPL法に対応した取扱説明書を添付しはじめた時期で、「予見しうる状況の範囲とは」「メーカー、執筆者(製作会社)、印刷業者それぞれの責任範囲は」など、一歩踏み込んだ内容のレクチャーや質問が交わされた。
また、従来の紙マニュアルからマルチメディアへの進化では、インターネットを使った情報発信や、画面で知りたいことを調べるオンラインマニュアルについての最新トピックスをテーマにした分科会が人気を呼んだ。 マニュアルの製作技術に関しては、パソコンを使ったDTP(デスクトップ・パブリシング)が普及してきたことから、製作技術や管理についてのセミナーが開かれ、「デザイナーを社内でかかえるメリット、デメリットとは」「DTPオペレーターの育成方法とは」といった他社の取り組みに関する、質問が寄せられ、関心の高さがうかがえた。
ユーザーにとって優しいマニュアルをいかに作るかが、数年前までの同シンポジウムのテーマだった。しかし、低価格化によるパソコンの普及、ネットワーク化など、コンピューターの利用環境が大きく変わっている今、マニュアルは形態、情報、表現が変化している。マルチメディア時代を間近に控え、マニュアル制作者の模索や問題意識が、活発な意見交換の下地になっていたようだ。
