株式会社ハーティネス

コラム「マニュアルNOW」1995

 

日本IBMのOS/2 Warp 読ませる工夫随所に

1995年(平成7年)10月12日 日経産業新聞掲載

 パソコンの基本ソフトは機能が向上し、初心者にも扱いやすい操作性やネットワーク機能が注目されている。IBMが開発、販売しているOS/2 Warpもインターネットの接続機能などを持っているが、添付されている入門マニュアル「OS/2 Warpナビゲーター」は前ページカラー印刷で活用方法を紹介し、読む気にさせる工夫が随所に見られる。

 128ページの中でインストールから基本的な機能、周辺機器の設定、添付されているソフトウェアの解説と、全体を一通り見渡せる構成。表紙と本文には小宇宙や月、スペースシャトルなどの写真を使って、派手でざん新な印象を与える。

 製作は日本アイ・ビー・エムのグループ企業でマニュアルの製作などを行っているインフォ・クリエイツ。「付録適なマニュアルでなく、販売促進につながる一歩先を行くマニュアルになるよう企画し、日本アイ・ビー・エムの営業部に提案した」とソフトウェア情報製品開発本部の富永進本部長は説明する。機能説明だけに終わらず、製品の使い方を提案する内容にしたという。製品に添付されるだけでなく、販促ツールとしての利用、雑誌の読者プレゼントなどに使われているほか、表紙や紙質を変えて解説書として書店でも販売している。 企画を担当した同本部の吉崎智正次長は「製品にWarpという名称がつき、マニュアルも時空間を超えて遠い星へ行くような作りにしたいとイメージがわいた」とコンセプトを語る。

 1項目2ページから6ページと見開き単位でまとめ、タイトルから内容がわかるように簡潔にまとめたと吉崎氏。各項目には、画面の図が一ページに数点入り、引き出し線などで解説するなどビジュアル化されている。用語や最新情報をコラムにまとめてあり、読み物としても興味を引かれる内容だ。

 OS/2 Warpには、他に400ページのユーザーズガイドとオンラインマニュアルが添付されているが、「ナビゲーター」のような入門書を付けたのは日本市場だけ。「ユーザーが画面で知りたいことを探すオンラインマニュアルに慣れている米国と違い、日本のユーザーに興味を持つ入り口となるマニュアルが必要だと考えた」と前出の富永氏。 販売競争の中でコストを削減したマニュアルが目立つ中、先進的な製品をユーザーに理解してもらい、活用してもらうために積極的な工夫をしたマニュアルの見本と言えるだろう。