災害対策、行動指針明確に
1996年(平成8年)2月8日 日経産業新聞掲載
マニュアルや取扱説明書の役割として、導入の手引きや操作説明のほかに、トラブル防止や回避があげられる。トラブルが起こった時にどのように対処すれば良いかがまとめられていれば、利用者は迷うことなく正しく対処できる。
このようなトラブル回避の機能を特化したマニュアルといえるのが、災害対策マニュアルだ。 昨年後半から、阪神大震災の経験を生かして、官公庁、自治体、金融機関などが災害対策マニュアルを発行するケースが増えている。企業においても、自社の災害対策マニュアルを作成しておくことは、いざという時の備えとなるだろう。
昨年9月に厚生省が発行した「災害対策マニュアル」では、時系列に分けて記述しており、災害発生24時間以内(その日のうち)、72時間(3日)以内、一週間以内の3つに分けて表にまとめている。すぐに発しする危険に対処する方法や、時間が経ってから必要性が出てくる場合の対処など、分けて書かれていると対処しやすい。 業務マニュアルでも同様だが、人がアクションを起こすためのマニュアルは、「いつ、だれが、何をすべきか」が明確にまとめられているほどわかりやすく、役立つものとなる。
特にトラブル発生時は、人は混乱しがちで、起こすべき行動の優先順位がわからなくなる。行動の指針を明確に示すことが、災害マニュアル作成時のポイントとなるだろう。 利用者に合わせて、より具体的に作成することも重要だ。大阪工業会では1月に企業が防災マニュアルを作成する時の手引きとして、「地震防災対策マニュアル」を発行した。建設、化学・石油、食品・電機・精密機械など六グループに分けて、業種別の対応例を解説している。
企業で災害対策マニュアルを作成する際は、こうした業種ごとの取り組みを参考にしながら、自社の状況に合わせて具体化していくことになるだろう。地震などの災害が起きた時に限らず、トラブル発生時の対処をマニュアル化しておくことは、現在の状況を把握し、情報を整理する機会としても企業にとって意味あることだ。
