株式会社ハーティネス

コラム「マニュアルNOW」1996

 

「伝える技術」に関心高まる

1996年(平成8年)10月3日 日経産業新聞掲載

 マニュアル制作に関わるメーカーの担当者、製作会社、フリーランス、研究などによる「テクニカルコミュニケーションシンポジウム'96」(TCシンポジウム)が8月29、30日に新宿・工学院大学で開催された。

 年1回開催し今年で8回目を数える同シンポジウムの参加者は2日間で800人強と昨年を100人以上上回り、マニュアル製作者の技術と情報の交流を促すシンポジウムとして定着した感がある。

 今年の全体のテーマは「インターネット時代のTC技術」。紙で配布されるマニュアルにとどまらず、インターネットでの情報提供を含めた新しいコミュニケーション手法が増え、ユーザーにより良く伝えるための技術が求められていることを表す。ディスカッション形式の分科会やセミナー、事例・研究発表で活発に意見が交換された。

 「今回は"インターネット時代"をテーマに揚げ、テクニカルコミュニケーションを意識したプログラム作りをした。PL法や翻訳、ライティング、レイアウトなど六つのテーマを用意したセミナーは昨年に比べ参加者数が増え、アンケートによる参加者の満足度も高かった」と同シンポジウムの小澤幸雄プログラム委員長(東芝OAコンサルタント取締役)は語る。

 また、マニュアルのわかりやすさの検証などをテーマとした研究発表は数多く質問があり、意見交換も熱気があった。「発表も含め学生の参加が増えたのが今年の傾向。将来が楽しみ」と小澤氏は強調した。 画面やソフトに組み込んだオンラインマニュアルの事例発表や分科会の人気も高かった。

 アンケートではビジュアルや動画も含めたテクニカルコミュニケーション技術に対する情報を求める声が多かったという。 また、マニュアルはCS(顧客満足度)向上の重要な要素だという認識も高まったことを背景にライターやデザイナーだけでなく、管理者の参加もあった。 企業や職域を超え専門職であるテクニカルコミュニケーターの交流の場としてシンポジウムが一つの役割を担いつつあるようだ。