読み物調でわかりやすく
1997年(平成9年)8月7日 日経産業新聞掲載
マニュアルがわかりやすいことは、製品の良さの一部。こうした考え方を企業がアピールし始めた。 この夏のパソコンの新製品では、わかりやすいマニュアルや画面で学べるCD-ROM、ビデオなどが充実し、カタログや製品紹介の中でも積極的に紹介し始めている。
例えば、富士通のデスクトップパソコン「デスクパワー」シリーズでは、「親切マニュアルが充実」と本体に添付されているマニュアルの構成が紹介されている。CD-ROMの「かるがるパソコン入門」は、パソコンにセットして、画面で実際に操作の練習をしながら、パソコンの基本的な扱いを習得できるものだ。
NECの「バリュースター」シリーズでは、各種のマニュアルに加え、使う前の準備について解説する「らくらくセットアップビデオ」が添付されている。
さらに最近のパソコンマニュアルでは、使う前の準備や操作方法だけでなく、パソコンについての基礎知識をわかりやすく伝える、読み物的なマニュアルを添付する傾向が目立つ。
バリュースターには、ガイドブック「これならわかるパソコンが動く」が添付されている。これは直木賞作家の海老沢泰久氏が監修した操作の早わかりで、マニュアルには珍しい縦書きになっている。昨年から添付されているが、パソコンを初めて使う作家が書いたマニュアルとして注目を集め、市販もされている。
デスクパワーでは、「パソコンがおもしろくなる本」が新たに加わった。これはパソコンの仕組みや使い方を解説する内容になっており、女性ライターが中心となって書いた。 これらの読み物的なガイドは、マニュアルを読み慣れていないユーザー層の抵抗感をなくし、パソコンを使う楽しさが味わえるように工夫されている点で、新しい試みだと言える。
各メーカーのパソコンの性能や価格の差がさほどなくなり、自社のパソコンを選んでもらう決定的なポイントを絞ることが難しくなっている。他社製品との違いを強調する点として、初心者へのやさしさ、使いやすさを伝える手段としてマニュアルを活用する。パソコンを何でもできる夢の機械から、日常に役立てる道具へと変えていく地道な努力として、評価したい。
