業界水準向上へ検定制度
1998年(平成10年)6月23日 日経産業新聞掲載
2月22日、第1回 テクニカルコミュニケーション技術検定(TC技術検定)3級試験が実施された。主催団体はテクニカルコミュニケーター協会。メーカーのマニュアル部門、制作会社、フリーランスのライターなどから構成されている。
札幌、東京、横浜、大阪、福岡など全国8カ所で行われ、受験者数は736名。検定事務局によると、当初の予想を上回る受験者となった。「マニュアル制作会社や電気・精密機械メーカーの勤務者が8割を超え、ライティングやディレクション、管理に携わる実務担当者の受験が大半をしめた。これまで企業の中でマニュアル制作に関わる人の技能評価が確立されていなかったため、実力を試すために受験した人が多いのではないか」と検定事務局の金子浩美氏は分析する。
検定試験は、それぞれ60分ずつの筆記と実技試験からなる。筆記試験は、マニュアル作成のライティングにおいて必要とされる知識があるかどうか、実技は実際に技能を身につけているかどうかを問う内容になっている。試験問題の作成には、企業などでマニュアル制作の実務に長年関わってきた経験豊富な専門委員が関わり、さらに大学の研究者などからチェックを受けて作成された。事前にテクニカルコミュケーター協会で作成し、有料で配布したガイドブックで出題範囲や用語や概念の解説などを行い、受験対策用としてセミナーが開催されている。
3級は、実務経験2年程度を目安としたテクニカルライターが対象となったが、金子氏によると今回の受験者の経験年数は、対象とした経験年数よりも高い人が多かったという。合格率は69.4%。「今後は、来年2月に第2回の3級試験を実施する他、2000年にはより高い専門性を問うような1級、2級の検定も計画している」と金子氏。
検定によって経験の浅いテクニカルライターの努力目標ができ、技能のレベルアップに貢献する。また、これまで裏方的な仕事と捉えられがちだったマニュアル作成者だが、技能検定という評価方法によって、専門技術を持つプロとしての社会的な認知が高まることも期待される。それは利用者(ユーザー)にも還元されていくことだろう。
