ネット時代は利用者も発信
1999年(平成11年)2月2日 日経産業新聞掲載
ブームとしてのインターネットから、日常の仕事や生活のインフラとしてインターネットの利用が変化してきた。新しい技術が生まれ、従来とは比較にならないスピードで普及するインターネットの世界では、ソフトウェアの開発者と利用者の関係性も変えている。
たとえば、インターネットでは各種のソフトウェアをサーバー上で公開し、利用者は自分のパソコンに取り込んで使う。ソフトウェアによっては開発者が利用者と双方向でコミュニケーションできる場をWebページに用意し、情報交換を行っている。利用者が独自に作ったWebページで活発な情報交換が行われている例もある。
たとえば、インターネットに接続している者同士でチャット(キーボードを使っておしゃべりをする)をするソフトウェアでは、利用者によるWebページでソフトウェアを入手する方法から、パソコンへのインストール方法、操作方法などのマニュアルがまとめられ、公開されている。人気のあるソフトウェアは、いくつもWebページが公開されているので、自分にあった情報をマニュアルとして選ぶこともできる。
利用者が作成したマニュアルは、製品に添付されたマニュアルに比べると、すべての情報が網羅されているわけではないし、情報が構造化されていない場合もある。しかし、利用者にとって必要な情報が個性的にまとめられ、より利用者に近いマニュアルとなっている。あるマニュアルはいきいきとした口語調で書かれていたり、別のマニュアルではそのソフトウェアに関連するインターネットの世界の背景などが、分かりやすく解説されているといった具合だ。
市販のパッケージ製品でも、ジャストシステムのように自社でサービスするWebの情報の上で、一太郎などの製品に関する疑問を検索できるようになっていたり、掲示板サービスで情報交換しながら、利用情報を得られるようにしているものもある。
作る人が情報を発信し、使う人は情報を受信する。こうした旧来の図式ではなく、使う人もまた情報を発信することで、互いに情報を交換し、自分自身に役立てていく新しい関係性を作る媒体として、マニュアルが関わっていくことを予感させるものだ。
