株式会社ハーティネス

コラム「マニュアルNOW」1999

 

IT活用と業務効率化

1999年(平成11年)8月24日 日経産業新聞掲載

 この不況を乗り切って、勝ち残るためには、IT(情報技術)活用が不可欠と取り組む企業が増えている。新しいシステムを独自に構築しなくても、インターネット技術と市販のアプリケーションソフトを利用しても、業務の効率化や生産性の向上、情報の共有化を図ることができるようになっているのが最近の状況だ。パソコンの性能に対して、価格が下がっていることも普及の一端を担っている。

 ただし、企業で組織全体の生産性の向上を図るなら、パソコンやソフトウェアを利用できるまでの教育では足りない。組織全体でどのような目的で仕事が行われており、その中で自分の作業がどのような役割を持っているのかを理解しないと、仕事はスムースに進まないし、通常の処理以外の場合にどうしたらいいかを判断できない。

 そこで業務マニュアルが必要となってくる。従来の企業の業務マニュアルは、どちらかというと作業フローのそれぞれの段階でなすべきこと、チェックポイントなどを解説することに力点が置かれていたが、現在はコンピュータやアプリケーションをどのように利用するかに重点がおかれる。

 オフィスでの仕事の多くを、パソコンを利用して行い、データを共有することが当たり前の環境になっているからだ。パソコンの操作が欠かせないと言っても、アプリケーションの操作の解説だけでは、仕事の流れに合わせた処理の部分が不充分だ。業務とパソコンの操作の両方をカバーした業務マニュアルが、今、求められているのである。

 業務マニュアルを制作して活用し、業務の効率化に効果を出している事例のひとつとして、日本アムウェイのコミュニケーション部門がある。
同部門は、カタログやパンフレットなど膨大な量の印刷物の制作を、DTPにより行い、デジタル化を推進している最中だ。このDTP作業についての業務マニュアルをまとめ、社内でのスタッフ教育や作業の標準化に役立てている。デジタル化のための各種素材の扱い方から、外部の制作会社や印刷会社への発注のポイントなどについても、業務マニュアルに記載されている。従来は担当者個人個人のスキルによっていた制作管理の業務を、誰でも行えるようにするという狙いが業務マニュアルによって実現されたという。現在は、イントラネット利用やデータベースに関する業務マニュアルなども整備中だ。

 今後、各企業において優れた業務マニュアル制作と活用が、競争力を高めるために求められるに違いない。業務マニュアル制作のアウトソーシングやノウハウへのニーズも高まってくることだろう。