情報家電、取扱説明書も進化を
2000年(平成12年)1月11日 日経産業新聞掲載
12月3日に「テクニカルコミュニケーションシンポジウム'99」(TCシンポジウム)が大阪で開催された。これは9月の2、3日に新宿で1000名を超える参加者が集めた同シンポジウムの大阪版だ。関西で開催する取扱説明書やマニュアルの大規模なシンポジウムとしては初の試みの同シンポジウムには、290名が参加し盛り上がりをみせた。
「春頃から松下電器産業、シャープ、三洋電機と関西の有力メーカーに加え、印刷会社の真生社、近畿ニューメディア推進協議会4社1団体で連絡会を作り、準備を進めてきました。予想したメーカーの取扱説明書部門や印刷会社、デザイン会社の担当者だけでなく、ソフトウェアの設計者など予想外の広がりをもった参加者が集まりました」と松下電器産業生産技術本部ものづくり支援センターCS技術推進部で同シンポジウムのオペレーション委員長である宮崎邦明氏は話す。取扱説明書制作の手法が、わかりやすいソフトウェアの設計に生かせると期待されているのだろう。
発表、分科会、特別セミナーでは、マニュアル制作の最新動向やユーザーサポートの声をどう生かすかといった東京のシンポジウムで人気が高かったプログラムが提供された。この他にも大阪独自の企画として注目を集めたのが、家電製品やAV機器で利用者の視点に立った取扱説明書をどのような工夫をして制作しているかといった、具体的な事例の発表だ。
たとえばMDステレオシステムの取扱説明書をわかりやすく改善するために、どこにポイントをおいたのか、十数種類のパンが焼けるホームベーカリーの取扱説明書をより役立つものにするために工夫した点など、制作担当者のプレゼンテーションには、多くの参加者が熱心に耳を傾けた。ホームベーカリーのように、最近の家電製品はパンの種類に合わせた温度調節をするといった便利な機能があるが、多くの利用者は使いこなせていないのが実態だろう。
豊富な機能を説明するために、取扱説明書の説明が長くなれば、利用者はうんざりして、読まなくなる。そこでパンの種類ごとに、操作方法を見開きページにまとめて、必要な情報がすぐに読めるように改善したといった、改善ポイントが発表された。これならキッチンなどでもすぐに読めて、役立つだろう。
インターネットから情報を引き出せる電子レンジが登場するなど、情報家電と呼ばれる機器の種類や多機能化が、これからもますます進むことは間違いない。デジタル時代の利用者の視点にたった、役立つ取扱説明書やマニュアルの役割はますます求められることだろう。
