ユーザーとの対話が重要
2000年(平成12年)5月23日 日経産業新聞掲載
あるメーカーの社員向けセミナーで、米国でマニュアルを製作しているテクニカルライターとディスカッションする機会があった。北米では爆発的なインター念との普及により、Eコマースの次の大きな市場としてインナーネットと使ったオンラインの教育「Eラーニング」が注目されているという。売上向上や業務効率化のためのスタッフ教育は、ビジネス成功の鍵になると企業がEラーニングに期待している。
こうしたオンラインの教育プログラムをどのように組み立て、効果があがるインストラクションを用意するかという点に、これまでマニュアル作成にかかわってきたテクニカルライターに知恵と技術が生きてくるだろうという点で意見が一致した。ユーザーに合わせて分かりやすく伝えることは、対象が製品やサービスであっても、仕事のやり方であっても共通する部分があるからだ。
従来と異なっているのはネット技術をどのように生かし、最適な技術を選んで分かりやすいコンテンツを組み立てる能力が必要とされること。Webページはより豊かな表現力を持っている反面、マルチメディアの場合の効果的な表現方法はいまだ手探りで制作されているのが現状といえる。
紙のマニュアルならば製作技術が蓄積され、評価されてきたがマルチメディアの場合はそこまで進んでいない。国内のマニュアル業界の中でのマニュアルコンテストでも、電子マニュアルについての評価はまだ明確になっていない状況だ。 先のテクニカルライターも北米で技術動向の調査をしながら、インターネットやデータベースの技術を組み合わせたマニュアルコンテンツ制作、教育への利用に取り組んでいるが、これからのライターはユーザーがコンテンツを生かして理解する、実行できるようになるまでをフォローするコンサルティング能力が必要になるだろうという。
インターネットにより顧客とメーカーが直接対話できる環境になった今、マニュアルやドキュメントも、ユーザーと対話し関係を作りながら、より良いコンテンツを提供するといった形態に進化していくことが予想される。ユーザーとコミュニケーションしながら、最新技術を駆使して提案できる力がこれからのテクニカルライターの資質として求められそうだ。
