株式会社ハーティネス

コラム「マニュアルNOW」2001

 

TC技術広範囲に応用へ

2001年(平成13年)1月16日 日経産業新聞掲載

 各種の取扱書やマニュアルを制作するためのテクニカルコミュニケーション技術(TC技術)を他の分野でも応用できないか? このような調査研究、取り組みが始まっている。

 財団法人ニューメディア開発協会が昨年三月に発行した「テクニカルコミュニケーション技術の応用分野に関する調査研究」では「TC技術は、本来マニュアル制作のためだけに開発された技術ではなく、むしろマニュアルの世界におけるこれまでの成果はTC技術の応用事例に過ぎない」と冒頭で述べている。

 同報告書でメーカーやマニュアル制作会社などを対象に行ったアンケートによると、TC技術が応用されている文書の種類には案内状、報告書、企画書、業務マニュアルなどの文書がある。応用できる分野についての設問では,ウエブサイトのコンテンツ作成から製品プレゼンテーション、人事制度の手引きの作成、クライアントに情報を伝えるなど、多岐にわたる回答が寄せられている。

 そのために必要な技術要素としては、ビジュアル表現技術、企画・構成技術、ライティング技術、ユーザー理解などをあげた回答が多かった。こうしたTC技術のスキルアップのための教育については、現在の日本の企業では職場内訓練(OJT)にまかされている企業がほとんどだ。

 大学ではコミュニケーション学部やメディア学部を新設し、TC技術を教育科目に扱うところが出てきた。プレゼンテーションやディベートを含む多様なコミュニケーション方法とともにTC技術の習得を図っている、と前出の報告書では述べている。既存の学部でもコンピュータリテラシー教育や履修科目として取り込む動きもあるようだ。

 今後はより幅広い分野でTC技術を身に付ける授業を取り入れていく必要があるだろう。情報技術(IT)革命を成功させるには通信網が整備され利用料金が安くなるといった環境面の整備ももちろんだが、ITを活用する際のより良い人と人とのコミュニケーションが重要になってくる。わかりやすい表現、ひとにやさしいインターフェースを用意することが競争力の差になっていくことだろう。