消費者の立場で使いやすさ追求
2001年(平成13年)10月3日 日経産業新聞掲載
8月30,31日の両日、東京・新宿の工学院大学で「テクニカルコミュニケーションシンポジウム」が開催された。情報機器や家電製品などを中心としたメーカーのマニュアル制作関係者、ライターなど、900人を超える参加があった。
今年のテーマは「アクセシビリティ」がキーワード。「利用しやすさ」「使いやすさ」を表す英語で、だれもがIT(情報技術)機器やホームページを容易に利用できることを示し、最近重要視されてきている。マニュアルや取り扱い説明書にもアクセシビリティの観点が求められている。
シンポジウムで参加者の注目を集めたのが、コピーライターの糸井重里氏による基調講演。糸井氏はマニュアルについて「広告コピーにも似ているが、あくまでも企業からユーザーに伝えるもので、主語がない独自の文体になっている。マニュアルは書いている人がだれだかわからないし、ユーザーを思いやる気持ちを示すこともできない。」と分析した。
糸井氏は「インターネットの特徴であるリンク、フラット、シェアの考え方で作れるのではないか」と今後の改善方法を提案する。
生産者から消費者へという上から下への情報の流れではなく、フラット(対等な)関係として、情報をシェアする、他の情報へとリンクするというスタイルを推奨する。
さらに「商品づくりの段階からテクニカルライターも参加できる仕組みを作ることや超消費者としての作り手になることが大切」と訴えた。
講演後の感想では「今の時代は人の生活を豊かにするような商品づくりにどうかかわっていけるのかを個々が真剣に考え、個々の伝える力が問われる。結果を知らせあい、次に生かすことが大切」と語った。
インターネットなどを使って分かち合った情報をすくい上げ、商品やサービスに生かすためのプロとして、テクニカルライターの力が求められてくることを感じさせられた。
