株式会社ハーティネス

コラム「マニュアルNOW」2003

 

ADSL説明書 表現に工夫余地

2003年(平成15年)3月5日 日経産業新聞掲載

 インターネットの接続で、ADSL(非対称デジタル加入者線)を選ぶ個人が急速に増えてきた。しかし、ADSLの利用では、パソコンと電話回線にADSLモデムを接続し、設定する必要がある。これを小サイズの説明書でわかりやすく説明しようと、各社は腐心している。

 メルコのモデムに添付されているのは、A5判約60ページのモノクロの「ユーザーズマニュアル」と、裏表の「インターネットに接続できないときは」の2種。ユーザーズマニュアルは、利用するための作業手順に沿った構成で、何をすべきかがすぐわかるよう配慮されている。

 「インターネットに接続できないときは」は、1つずつ項目をチェックしながら読むと、接続できない原因とその対処方法が分かるようにフロー図の構造になっている。ある程度、知識があるユーザーには使いやすいが、全体的に文字が多く、文字サイズが小さいので、50歳以上のシニア層には読むのが少々、つらいかも知れない。

 通信機器のマニュアルを読む際に理解しづらい用語についても、ユーザーズマニュアルで章を設けて説明しているのは好感が持てるが、説明されている用語の数が少ない。もっと基本的な用語の解説も盛り込むと、より親切なものになるだろう。

 NECのADSLモデム「Aterm」の場合は、説明書冊子はメルコとほぼ同様の構成だが、「つなぎかたガイド」というカラーの1枚のシートで、梱包品の確認からインターネットの接続設定までを説明している。大判なので、全体像が把握しやすい。

 しかし、盛り込まれている内容が多く、小さい文字になっている箇所がある。CD-ROMの電子マニュアル集が添付され、困った時の解決方法について参考情報も詳しく提供されている。ただ、CD-ROMのラベルや「つなぎかたガイド」を見ただけで、この電子マニュアルの使い方はわからない。

 従来のモデムのマニュアルに比べるといずれも工夫はされているが、家電製品の取扱説明書のやさしさにはまだ数歩、及んでいない印象。幅広い層に受け入れられるためには、情報の区分けや表現方法など、工夫の余地があるだろう。