安全の注意までわかりやすく解説
2004年(平成16年)12月29日 日経産業新聞掲載
マニュアルや取扱説明書の制作にかかわるメーカーや制作会社の業界団体であるテクニカルコミュニケーター協会(TC協会)」が主催する「日本マニュアルコンテスト」がこのほど発表された。コンテストは制作者であるTC協会関係者が相互評価し、品質向上を目指している。審査は厳しく、細部にわたって検討される。
今年は応募点数92点から製品の部門別に分けられ、優秀なマニュアルが12点選出された。マニュアルオブザイヤーに選ばれたのが、松下電器産業のIHクッキングヒーター取扱説明書「かんたんIHブック」だ。36ページの内容ながら、わかりやすくまとめられている。IH機器を初めて使う「ちょっと不安」と感じる利用者のために、安心感を与え、各種の調理に役立つ内容が盛り込まれている。イラストで図解しながら、どのボタンを押したらいいのかがすぐにわかる説明方法も秀逸だ。「IH調理のコツ」として各種調理方法での火力調整の目安を一覧表にするなど、読まなくとも一目見て分かる工夫がされているのだ。
審査員は「従来、読む気になれなかった安全上のご注意が製品全体図の注意すべき個所から引き出しがあり、どの部分でどのような注意が必要か理解しやすい」と評価した。利用者の安全を守るための工夫を積極的に行っている。安全性を考えてIH調理器具を選ぶシニア層の利用が多い背景を考慮し、読みやすく、わかりやすい取扱説明書を作ろうとした意欲が伝わる。
04年がネット家電元年であるといわれるように、今後、家電製品もこれまでにない様々な機能を持つことになる。便利さだけではなく、安心、安全のための機能も加えられることだろう。たとえば離れて暮らす老人のリズムを、家電製品から送られる情報を家族が受信できるといった製品も実用化されてきた。
新しい時代の情報機器を十分活用するため、取扱説明書やマニュアルの使命は高くなるはずだ。そうした時代の流れを感じさせるような優秀なマニュアルが作られ始めていることを印象づけている。情報機器と利用者である人とをつなぐようなマニュアルがたくさん、登場することを期待したい。
