求む!電子辞書を使いこなす説明書
2005年(平成17年)8月10日 日経産業新聞掲載
メモを取っているときや資料に文章を書き込むときに、「この漢字、どう書いた?」と、迷うことが増えてきた。身近なシニアたちは、電子辞書を活用している人が多く、「自分も」と手に入れた。
ネットショッピングで購入したシャープ電子辞書「PW-A8300」は、広辞苑やオックスフォード現代英英辞典などに加え、年金シミュレーションなど生活情報も含め、90ものコンテンツが収録されている。取扱説明書を箱から取り出すと、441ページもの分厚い本が出てくる。
取扱説明書の構成は、冒頭に初めて使うときの電池の入れ方や、画面表示、基本的な画面での操作のしかたや設定などを約40ページでまとめ、残りは各コンテンツの使い方などを説明している。モノクロ1色で、文字が多い印象を受けるが、説明の仕方はおおむねわかりやすい。
取扱説明書の「基本的な使いかた」を読みながら実際に使ってみた。一度使った語を再度調べたいときは、しおりを使って登録しておけば調べた語が新しい順に並べられることなど、電子辞書ならではの便利な機能がわかりやすく説明されている。
後半はコンテンツごとに検索できる内容や検索方法が異なっていて、コンテンツの説明部分は書き方が統一されていない感がある。しかし、知っておくと検索に役立つ情報が書かれているところもある。
たとえば「『医者からもらった薬がわかる本』を使う」のページでは、薬の識別コードの見方が、写真とともに添えられているので親切だ。しかし、その後の「使う前に必ず読んでください」の項目では、もとになった書籍の前書きに当たる部分を読むように指示しているだけで、なぜ、読まなくてはいけないのかが分からない。
全体的に操作の説明は分かりやすく工夫されているが、ハードウエアとソフトウエアの操作説明に留まっていることが残念。中学生が教師から英和辞典の使い方を習うように、電子辞書を使いこなす知恵を取扱説明書にも盛り込めないだろうか。
筆者が非常勤講師を務める大学で、授業中にリポートを作らせると、机の上に置いた電子辞書を使って書く学生が結構いる。ただ1回1回の検索はしても、そこから広がる膨大な知識を享受している様子はあまりない。以前なら持ち歩けなかったような膨大な辞書を持ち歩けることのメリットを、若い世代もシニアも大いに生かせるような取扱説明書が作れないだろうか。
