株式会社ハーティネス

コラム「マニュアルNOW」2005

 

技術コミュニケーション脱皮のとき

2005年(平成17年)10月4日 日経産業新聞掲載

  マニュアルや取扱説明書の制作にかかわる業界団体であるテクニカルコミュニケーター協会が主催する「テクニカルコミュニケーションシンポジウム2005」が9月1、2日、東京・新宿の工学院大学で開催された。事務局によると、2日間で参加者は1100名を超えた。メーカー、制作会社に属する参加者が多く、20代、30代の若い世代が例年より増えた印象を受けた。

 今年のメインテーマは、「脱皮!テクニカルコミュニケーション」。IT機器やサービスの利用が急激に拡大している今、テクニカルコミュニケーションの世界自体が変わるべきだとの問題意識から、このテーマが選ばれたという。ユーザーと製品を結ぶ情報を提供する専門家として、改めて自分たちの持つコア技術や、変わりつつある環境・ツールを見直し、脱皮すべき姿を探ろうとする意識が現れたシンポジウムとなった。

  1日の基調講演では、生態心理学者の佐々木正人氏が、身体的行為のふるまいからモノを捉えるアフォーダンスをテーマに講演。現在、直接的にマニュアル制作技術にアフォーダンスが取り入れられているわけではないが、情報とモノ、人とのかかわりについて思考の幅を広げる刺激を受けたと参加者は感想を語る。パネルディスカッションでは、使い手中心のモノづくりにどうかかわるかなど、現状の技術や方法論を見直す内容のセッションが人気を集めた。

  ユビキタス社会で情報機器やサービスを利用者が使いこなすには、テクニカルコミュニケーション技術が役立つはずだと、制作者自身が意識しながらも、あるべき方向性はどこなのかを模索している状態だ。シンポジウムで共有した問題意識をベースに、ユーザーに寄り添って、製品やサービスの活用方法をいつでも、どこでも、必要な時に提供するような存在へと、脱皮することを願う 。