富士ゼロックスが2006年ベスト
2006年(平成18年)11月21日 日経産業新聞掲載
優れた取扱説明書やマニュアルを評価する「日本マニュアルコンテスト2006」の結果が9月に発表され、主催のテクニカルコミュニケーター協会(以下TC協会)から報告書が公表された。
マニュアルの制作に携わる業界団体であるTC協会が共催・主催し、10年目を迎えた今年の応募総数は81点。マニュアルオブザイヤーには、前回紹介した富士ゼロックスの「ApeosPortとDocuCentre用スキャンの本」が選出された。表紙のイメージは雑誌のような楽しいデザインで、手にとって読んでみようという気になる。中を開くとチェックシートがあり、項目ごとにどこを読めばいいかわかりやすい。スキャナーなどの機器に慣れていない人でも、人から教えてもらうようなイメージで自然に誘導される工夫がなされている。
このマニュアルは制作前にユーザーにアンケートを取り、マニュアルに何を求めているか調査したという。「利用者の気持ちをくみ取った結果、製品を知ってもらうためのツールとしても活用され、増刷を重ねているのはマニュアルでは珍しい。新たな試みが評価されているのだろう」とTC協会評価技術研究専門委員会の徳田直樹委員長は指摘する。
その他にも企画賞を受賞したソニーの「リニアPCMレコーダー PCM-D1マニュアル」や、持っていたらうれしいで賞のローランド「VP-550取扱説明書」は、洗練された紙面デザインや製品取扱情報の表現の工夫がなされ、製品が欲しくなる新しいマニュアルの方向性を示していると徳田氏は語る。
最近では製品のウェブサイトでマニュアルのPDFを公開するメーカーが増えている。製品購入前にマニュアルを見る人も多い。マニュアルを通してその製品の魅力を伝え、買いたいと思わせる動機付けにしようとメーカーが本気で取り組み始めたことが、新しいタイプの登場につながったのだろう。脇役的な存在だったマニュアルが、利用者に近づいていく姿勢を示し始めたと言える。
