株式会社ハーティネス

コラム「マニュアルNOW」2009

 

メンテ用、現場目線が重要

2009年(平成21年)12月1日 日経産業新聞掲載

 「サービスマニュアル」と呼ぶ取扱説明書がある。サービス担当のエンジニアが現場で参照し、的確かつ効率よくメンテナンスができるようにすることを狙ったマニュアルだ。取扱情報の専門家でつくるテクニカルコミュニケーター(TC)協会が主催して10月9日に京都で開いたシンポジウムではパネル討論のテーマになり、約50人が参加。マニュアルを制作する企業の担当者が取り組みを報告した。

 マツダエースは、自動車整備に関するサービスマニュアルを紙で提供していたが、2003年からネット配信に変えた。野津博司氏は「マニュアルの管理の手間を省き、電機配線図を実際の線の色で示せるなどわかりやすさも向上した」と語った。シャープエンジニアリングの石崎俊郎氏は家電製品の多くが生産コストを抑えるために多層基板を使っており、故障個所を見つけにくい点を指摘。「修理では基板ごと交換するので、回路図よりも分解方法をわかりやすく示すことが重要」と強調した。

 半導体製造装置メーカーのマニュアル制作を受注しているテックコミュニケーションズの宮川卓氏は「アフターサービスの充実やサポートに力を入れるため、企業はマニュアルにも分かりやすさを求めるようになっている」解説。テクノアートはトイレの温水洗浄便座の施工マニュアルを絵で見て分かるように改善した。川内雄史氏は「A3判の見開きで完結するので作業中も広げて確認でき、作業効率が高まった」と説明した。

 制作者も現場を知ることが重要で、メカニック目線を持った人材の教育が必要との課題も指摘された。司会を担当したテックコミュニケーションズ営業部の西村宏之氏は「業種に関係なく共通する課題も見えてきた。サービスマニュアルについて情報交換や議論する場を今後も継続することを期待したい」と総括した。